2018.02.09
10冊の本を読むより1つの失敗をしよう
トレーニングは教科書通りにいかないことが多い。
一人一人の体が違うし、動きのクセも姿勢も違うので
同じ腰痛にしても原因は全然違います。
フィギュアスケートのトレーニングを教える前は自動車関係の企業で
トレーナーをしていました。
中でも本田技研の鈴鹿製作所さんでは
4,000セッションのパーソナルトレーニングをしました。
毎日従業員のパーソナルトレーニングを就業時間内に行っていました。
ほとんどが私より年上の男性の従業員がトレーニングにくるので
可愛がってくれる方も多かったのですが
中にはなんでこんな若造の言うこと聞かないといけないんだ?
って最初から反抗的で、何一つ言う事を聞いてくれず
「その説明の科学的根拠は?論文を今すぐ見せてくれ。
そしたら納得してやってやるから。」
ストレッチに関しても、ストレッチの意味は?
1b抑制のお話をしても「じゃあ論文見せて。」と言われて
何も実践してくれず、話も聞いてもらえず
結局その方はやめてもらう事に。。。
その時の私の担当者がその従業員に
「この先生はトレーニングのプロなんだし
根拠根拠って、根拠がなくても効果のあるものがほとんどで
それすら信じれないなら、ここにくる意味ないですよ。
ホンダからお願いして先生に来てもらってるのに失礼だ」と
怒ってくれました。
沢山の人が参加してくれましたが、ほとんどの人が
自分の希望で参加ではなく、上司から選ばれた人が
参加していたので、やる気はない、来させられた人がほとんど。
どうしたら私の話を聞いてくれるか
信用してもらえるか、など沢山悩み、苦労しました。
逆に柔軟な男性の方でも、ストレッチって本当に効くの??
って疑問を持っていたので
「とにかくこの半年間、騙されたと思ってやって下さい。」
と言って、やってもらったら腰痛がなくなりました。
「あの時騙されたと思ってやってよかった!」と
いつもみんなで集まる度に言ってくれます。
本を読んで知識を取り入れることはいい事です。
でも本ばかり読んで、著名人の自伝とか
自己啓発本とかを読みすぎて勝手に同じ経験をした気になって
あたかも自分も体験したかのように話す人も多いです。
私の経験上、これは男性に多く見られます。
本で読んだ事を相手に伝えても伝わりません。
伝わるのは本人が実際に経験した事です。
失敗したくないから、傷つきたくないから
本で沢山知識を得て、完全武装で挑もうとするけど
一歩を踏み出せない。
そんな人が多かったです。
失敗を恐れて本ばかり読んでいると
現実逃避する癖も出て来ます。
「この出来事は自分にとってプラスになるよう捉えます。」
とか、「今の自分に必要な出来事だったのでしょう」とか
変に頭でっかちになり、本の読みすぎだなと思ってしまいます。
人生、そんな割り切れるものじゃないです。
どうしようもなく辛い出来事もあるし
何をやってもうまくいかない時もあるし
他人がうらやましくて自分だけ焦って嫉妬もするし
失敗もするし、悔しい思いもするし、悲しい思いもします。
その時は思い切り悔しい!って感じて欲しいし
がむしゃらにどうしようもなくても頑張って前に進むしかない時もあるし
思い切って離れてみるのもいいし
人によって乗り越え方は違います。
本に載ってる方法ではなく、自分の事は自分流の乗り越え方で乗り越えます。
「これは必要だったので、マイナスではなくプラスです。」
いやいや、あなたの失敗だし、めちゃくちゃマイナスだって気づかなきゃ!
どれだけ人に迷惑かけてるのに
すんなり割り切って、反省もしないの??と
目の前の出来事に向き合わなければ
また同じことが繰り返されるだけです。
悔しかったり、悲しかったり、恥ずかしかったり、
ごめんなさいと謝ってみたり、
そんな経験があるからこそ、うれしい事、楽しい事が感じれるし
幸せも倍増します。
私は沢山の失敗をして来ました。
その分、人の痛みも失敗した人の気持ちもわかる事ができました。
失敗した事で沢山勉強できました。
その中で、経験に勝るものはないと思いました。
そんな時、すごい著名人にお会いする機会があり
「普段は本は読みますか?」と聞いてみました。
返事は「読まない。読むとしても小説くらいかな。
本を読むことよりも、実際に経験したことの方が大事だから
僕はほとんど本は読みません。」と言っていました。
こんなすごい方も同じなんだと思うとうれしかったです。
何事も経験。
なのでオリンピックに行きたかったら
実際オリンピック選手を担当したコーチにつくべきだし
トレーナーもそうした方がいいと思っています。
文章ではなんとでも宣伝できるし書けるけど
実際に経験していない人が書いてるのと
実際に経験した人が書いてることでは
リアリティも説得力も違うからです。
骨や筋肉の名前を完璧に覚えているから
すごいトレーナーではありません。
トラブルを抱えた生徒の原因を突き止めて
改善していける、またはパフォーマンスを上げれるトレーナーが
良いトレーナーです。
それは経験を積まないと一人一人に対応ができません。
でも本ばかり読んでる人は知識、専門用語を沢山使ってる人が
すごい人だと勘違いしやすいです。
沢山の人に会い、いろんな経験をし、喜怒哀楽をめいっぱい感じて下さい。
本を読むことは悪いことではありません。
失敗やいろんな経験も同時に体験していって下さい。
そうすれば人生の幅も、フィギュアスケートの演技の幅も広がります。
人を感動させる演技ができる人は感動できる人にならなければいけません。
恋愛も失恋もその一つ。
少女漫画の王子様と実際に付き合う彼氏は
経験してみないと違いがわからないです。
10冊の本より1つの失敗をしよう。